子ども観察記+α

兄(10歳・小4)と弟(7歳・小1)の、日々の観察記録と、+αの記録です。

「やればできる」ということ

息子たちの剣道の稽古を、久々に始めから終わりまで見た。
型の稽古が主なので、見ていて「スポーツをやっている」という感じはしない。子ども達も、楽しくて夢中になる、という雰囲気ではないが、お腹に力を入れて張りのある声を出したり、身体の中心がぶれないような無駄のない動きをするというのは特別な気持ちよさがあるのだろう。みんな、いい顔をして練習している。

長男は剣道を始めて3年になる。実はつい最近まで、あまり熱中している様子はなかった。模倣が苦手なので、先生のお手本通りに動くことが難しい。手先が不器用なので、防具をつけるのに時間がかかる。思いっきり走り回るのが好きなのに、そういう場面は特にない。そんな訳で、面白そうな顔もせず、それでもなぜかやめたいとも言わず、毎週通い続けていた。

それが、ここ数ヶ月で変わってきた。竹刀がぶれなくなってきた。面もまっすぐに入るようになってきた。先生が指導のために声をかけると、ぱっと動きを止めて見るようになった。防具の置き方もお作法通りにできるようになってきた。ここまでで3年…と思わなくもないけれど、とにかく、これまでしてきたさまざまな体験が、急につながり始めたような感じがある。

今日、一緒に組んだ友達に「おまえ剣先が下がりすぎ!」と言われていた。なかなか直らなかったのか、くりかえし、最後のほうには、ややからかうような口調で言われていた。

これまでの兄だったらつっかかっていただろう。(実際に何度かけんかに発展したことがある。)でも今日の長男は、黙って剣先を微調整していた。焦りも怒りもせず、淡々とした表情だった。そうか、上達してくると、聞けることが増えるんだな、と思った。

「やればできる」というルートは、実はそんなにたやすくたどれるものではない。やってみること、続けること、できるようになるきっかけをつかむこと、できるようになること、その「できる」が定着すること…そのうちのどこかの段階で止まってしまい、投げ出したことの何と多いことか、と自分を振り返ってみて、思う。

しかし長男は、最も苦手っぽい分野である剣道で、今、小さいけれど「やればできる」のサイクルを回しはじめているように見える。そしてそのことは、自分自身に対する信頼へと、確実につながっているんじゃないかな、と思う。