子ども観察記+α

兄(10歳・小4)と弟(7歳・小1)の、日々の観察記録と、+αの記録です。

分けっこしよう。

5月の下旬に運動会がある。1年生はミッキーマウスマーチを踊るとのことで、ねずみのしっぽを8日までにつくってください、と学年だよりに書いてあった。

「用意するもの」の欄には「黒いフェルトまたは布50cm×10cm、綿、針金、マジックテープ」などと書いてある。一辺が50cmもあるフェルトが存在するんだろうか。あったとして、10cm単位で売ってくれるものなんだろうか。

ともかく連休2日目に隣町の手芸屋さんへ行ってみた。「黒いフェルトって・・・」と言ったとたん、「あ、しっぽでしょ!」とお店のおばさん。昨日から次々と、「50cm×10cmのフェルトまたは布」を求める人たちがやってきているという。

フェルトだと裏に返すの大変だから布の方がいい、針金はうちのは高いから通りの先の金物屋さんでね、マジックテープはこれでいいでしょ、とおばあさんがちゃちゃちゃっと見繕ってくれて、無事材料が揃った。

布は30cm単位だとのことだったので、30cm買うことにしてお会計を頼んだら、おばさんが言った。

 

「お友達どうしで材料分けたら早いのに、そういうことしないのねえ最近は。みんな余分に買って余らせちゃうの、もったいないわよ」

なんだかぎくっとして、お会計の手が止まった。そうか、なんで思いつかなかったんだろう。

そもそも材料の単位がわかってなかかったし、だから一人分だと不経済だろうな、という見立てもなかった。当然、誰かと相談してまとめて買おうという発想もなかった。おばさんの時代の母親たち(というのがイメージで浮かんだ)と、わたしはたぶん全然違う。

 

なぜか「負けた!」って気がして、気づいたら

「ちょっとほしい友達いるかもしれないので、マジックテープもう一本余分にもらえますか?」と言ってしまっていた。

お店を出てから後悔した(笑)。保育園の時からの友達は何人かいるけど、「誰かひとりに声かける」となるとあんがい難しい。みんなもう材料揃えてるかもしれないし、ひとりひとり聞いてく?受け渡しはどうする?考えると、だんだん面倒になってきた。

みんなでまとめて買っちゃえば、無駄もない。でもこんなふうに、手間はかかる。その手間のかかる感じを無意識ではつかんでて、それを回避していたのかもしれない。だから最初から「一人分」だけ買うつもりでいたのかもしれない。

数分迷って、クラス役員を一緒にやっているTさんにLINEしてみた。「まだ買いに行ってないです!ぜひ!」と返事がすぐに来て、そのやりとりで受け渡しについても決めて、余分に買った材料は無駄にならずに済んだ。

それが連休の初めのできごとで、今日は最終日。日付も変わろうとしているこの時間に、ようやくしっぽを作り始めている。Tさんも同様だったらしく、21時すぎに「つくりましたか?わたしはまだ」とLINEがきた。今、ふたりで「綿が入らない」とか、「眠くなってきた」とか、「というかそもそもこれ画用紙じゃだめだった?」などとぼやきつつ、それぞれの家で悪戦苦闘している。

材料を分けっこしたら、つくる体験も分けっこできた。ただ単に面倒なだけだったはずのしっぽづくりに、今、なんだか心楽しく取り組んでいる自分がいる。