少年と海
実家からドライブして海の方へ行った。
「11時から大リーグの試合見たい」
「海興味あるのお母さんだけだよね?」
というつれない息子たちをやや強引に車に乗っけていく。
車を止めて、真っ先に飛び出したのは次男。目の前の海に向かってがんがん下っていく。石の間に小さなかにを見つけて喜んでいる。
心配性の長男は、「そっち波くるよ!」(注:凪いでます)と、防波堤の上でしゃがんでいる。
防波堤に座り込みながら大きい声でいろいろ話しかけてくる長男に、「降りておいでよ」と声をかけた。こわごわと岩場を下り、こちらにやってくる。降りたら安心したようで、波打ち際の少し大きな石の上に座り、海を眺めはじめた。
わたしも少し離れて海を眺める。湾や岬の形が、ジオラマのように小さく、くっきり見える。遠くからだんだんと近づいてくる、波のリズムが面白い。波が裏返ったところの水の色が美しい。
すぐそばで、石の上に座っている長男は、何を感じているんだろうか。身動きせずに、じーっと波を見つめている。
だいぶ長いこと、そうやってふたりで海を眺めていた。(その間、次男は夫とかにを探していて、遠くのその気配を感じているのも、なんだかよかった)。
そろそろ行こうか、と声をかけると、長男はこちらを振り返って
「波は、おもしろいね」
と、言った。あー、同じ時間を過ごしたなあ、と思った。
車に戻りながら、「今度あたしが海見に行く時、誘おうか?」と聞いたら「うん」ときっぱり答えた。「波を見てると、なんか不思議な気持ちになってくる。なんだろうこれ」と。
仲間が増えた。