図工の先生
兄の学校の公開日。
図工の授業を見に行ったら、図工専科の先生の言葉がいちいちかっこよかったのでメモ。
①「こうだろうと思って描かないで。見て、見て、見て!」
クロッキーの授業。文房具や人物モデル(先生と、立候補した子ども)を5分とか7分とかで描くというもの。教室を回りながら、先生が何度も「こうだろう、って頭の中で思ったことを描くんじゃなくて、見たものを描くの」と声をかけていた。「今よく見て。ここからだと目は片方しか見えないでしょ?そうしたら片方だけを描くの」「頭の中を描くんじゃないの。見えたものを描くの。」「見て、見て、見て!」と、いろんな子に、くり返しくり返し。
②「今何人かの子が悲しい気持ちになった」
女の子がモデルになって前に出た時に、独り言みたいにからかいの言葉を投げた子がいた。先生がすかさず、「今あなたが何となく投げた言葉で、何人かの人が悲しい気持ちになったことに気づいてる?」と言葉で制した。「投げた」っていう言葉と、「◯◯さんが」じゃなくて「何人かの子が」っていう言葉。
③「待ってくれるかな」
クロッキー中。先生がひとりの子の机の前を通りかかって視界を遮る形になったときに、その子がすかさず「先生見えません」と言った。先生は、さっと通り過ぎてから「うんごめん。だけどさ、一瞬じゃない?先生が通り過ぎるの。待ってくれるかな、そういう時」ってさらっと言っていた。
どれも、何よりその先生の人となりが分かる言葉だと思った。一人の人が、その場で感じたことを言葉にしている感じ。(学校の先生って案外そういう発話が少ないんじゃないかな、とも思う)
そういえば、わたしのこれまで出会ってきた図工(&美術)の先生も、他の教科の先生とちょっと違う雰囲気だったな、と思う。自由さとか、大人っぽさとか、本質を知っている感じとか。
「頭の中を描くんじゃない、見て!」なんて、なかなか聞けないけっこうだいじな話だと思う。いい話をしてもらってるんだな息子は、と思った。そういうのを湯水のように浴びて、そして忘れる(笑)というのが初等教育のベストな形なんだろうなー。