子ども観察記+α

兄(10歳・小4)と弟(7歳・小1)の、日々の観察記録と、+αの記録です。

どこにでも宿る愛

少し前に、映画の「この世界の片隅に」を観た。
その後すぐに、原作の漫画を買って読んだ。


映画にはいいシーンもたくさんあって、
基本的に好きな感じでもあったけれど、
見終わった後、かすかにだけど、違和感が残った。
漫画を読んで、その理由が分かった。

わたしは、原作と映画で、何より
主人公の描かれ方が変わっている、と感じた。
映画化に際して、主人公のすずは、
無垢で、無力で、そして残念ながら
愚かな存在へと、わずかに修正されている。
(そう感じさせる描写のうちのひとつは、
はっきり作品の傷といっていい変更じゃないかと思っている。)
それが、とても残念だった。

だいたい、ささやかさや健気さを
強調しすぎじゃないかと思った。
その物語なら、もうわたしたちはくり返し見てきているはずだ。
「力なき我々が、」という物語。
でももし、いい大人がみんなそこに埋没しちゃってるんだとしたら、
いったい誰があの子を守れるというんだろう。

原作で一番すごいと思ったのは、
最後の「しあはせの手紙」だ。
「どこにでも宿る愛」という言葉の力強さ。
「どこにでも」という部分に、骨の太い野性味を感じる。

すずの魅力も本来は、天然さじゃなくて、
骨太さとか野性味だったんじゃないかと思うのです。

もうちょっとしたたかでワイルドな、大人のすずが見たかったなー。