本当に友達と遊びたい?
「友達が遊びに入れてくれなくて、休み時間一人で過ごしている」と弟くんがこぼしたのが先週のこと。少し気がかりだったが、そのあとは割と「今日Aくんがさー」などと友達の名前が普通に出てくるので、まあそんなに心配することないかな、とも思っていた。
昨夜、再び「Bくんに『あそぼう』って言ったのに、いやだって言われた」と弟くんが言うので話を聞いていたら、横にいた兄くんが
「ちなみにぼく今日1年生のクラスに行ってみたんだけどさ」
と言った。聞いてみると、同じクラスの、同じく1年生に兄弟のいる女の子に誘われて、一緒に弟たちの様子を見に行ったのだという。
たしかに教室にいなかったね、どこいたの?図書館に行ってた、などというやりとりを聞きながら、1年生の廊下から弟を探す4年生チームの様子を思い浮かべてにやにやしてしまった。
「え、ぼくのためにわざわざ来たの?」と嬉しそうな弟くん。兄くんは、だって先週も、ひとりぼっちだって言ってたじゃん、とあたりまえのことのように答える。
「で、弟くんは本当に友達と遊びたいの?」
と兄くんがふと尋ねた。Bくんには断られて残念だったけどさ、他の友達を誘う手もあるかと思うんだけど。
「いや、Bくんとは遊びたかったけど、他の友達とは別に遊びたいわけじゃない」と弟くんは言い、何かに気づいたようだった。「あ、そうか!」
「ぼく、友達と遊びたい、っていうの、実はあんまり思ってない。昼休みは静かに過ごしたい。図書館行くとおちつくんだよー」
Bくんも静かにすごしたいから、ぼくに遊ぼうって言われても断ったのかもしれない、とつぶやいた時には、弟くんは、もうすっかり晴れ晴れした顔をしていた。
それが昨夜のこと。「弟くんは本当に友達と遊びたいの?」って、いい問いだな、やるな兄くん・・・と今朝も思い出している。「あ、そうか!」という弟くんの明るい声が、耳に残っている。