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子ども観察記+α

兄(9歳・小3)と弟(6歳・保育園児)の、日々の観察記録と、+αの記録です。

ほめられるとこまる

兄弟の通っている剣道教室で鏡開きがあった。

基本的にひたすらおもちを食べる会なんだけど、ひとり一言、今年の抱負を発表する場面がある。発表といっても「試合で勝てるように素振りを頑張ります」くらいの簡単な一言なのだけど、弟くんは朝からそれをすごく気にしていた。

緊張するー、と、道場へ向かう道すがらも呟いている。保育園でも発表会で上がってしまって泣き出したりしたこともあったので、彼が緊張しいなのは知っている。わたしも同様なので、正直なんといって励ましたらいいか分からない。大丈夫だよ、なんてとても言えない。

「まあ、見てるよ」となんとも頼りない言葉をかけて、弟くんの発表を見守ることになった。

弟くんは、大きな声ではっきりと、話していた。緊張しているとは思えない、堂々とした態度だった。恥ずかしい盛りでさらーっと流しがちな小学生組より、正直立派である。

先生がたにも周りのお母さんがたにも盛大にほめてもらった弟くん。席に戻る時にはやや表情が強ばっていた。「発表よく分かったよー!堂々としてたね」と声をかけたら、さらに表情を強ばらせて、「まあほめられると思ってたよ」と言ったかと思うと、みるみる目の周りが赤くなり、泣き出した。

隣にいた兄は、「なんで?なんで泣いてるの?」とびっくりしていた。でもわたしは、なんだか分かるような気がした。

家に帰ってから、「ほめられるの嫌だったの?」と聞いてみた。弟くんは、少し間を置いてから、「ほめられると、じまんしたい気持ちが出てきて、それがいやなの…」と、小さい声で言った。

せ、繊細…!と一瞬思った。でも同時に、それ、わたしと一緒だ、とも思った。現にわたしはさっきも、「弟くんしっかりしてるねーー!」と言われて素直に「ありがとうございます〜♡」などとはとても言えず、なんだかもにょもにょした返事をしてしまっていたのだ。

ほめられると本当は嬉しい。でも、うれしがる自分を認めたくない気持ちもある。だから、ほめ言葉をそのまま受け取れない。分かる、分かるよ弟くん、と思う。分かるけど、返す言葉が見つからない。

すると、それまで黙っていた兄が口を開いた。

「弟くん今日ほんとにじょうずだったし、まあちょっとはじまんする気持ちになっても当たり前じゃない?」と、さらーっと。

なんだか兄に救われた。似た人同士で煮詰まっていたところへ、ぜんぜん違う発想の人が入ると、ぱーっと視界が開ける、あの感覚を、兄がもたらしてくれた。

そういう意味で、弟くんにとって兄はとても大切な人だし、わたしにとってもそう。
もしかすると、お互いがそんな風に、関わり合っているのかもしれないな、と思った。